海外では、お店での支払いに現金を使わないキャッシュレス決済が普及しています。
最も普及している中国では人口の約60%が使っているとされ、アメリカでも約46%と割合は年々高まっています。
日本国内でも最近は徐々にキャッシュレスに対応する店舗は増えていますが、20%ほどしかありません。
日本はキャッシュレスに関しては、後進国と言える状況です。
キャッシュレス化が進むと、日本で問題となっている慢性的な人手不足を解消できます。
また新しいサービスが生まれる可能性もあるので、日本政府は2020年に20%から倍の40%を目指しています。
こうした状況もあって、2018年から2019年にかけて次々と新しいキャッシュレスが登場しました。
TVCMを大量に放送し大規模なキャンペーンを実施したサービスもあるので、名前を聞いたことがある人も多いでしょう。
そうした状況の中、コンビニエンスストアのセブンイレブンが7月1日から新しく始めたのが7payです。
大手コンビニエンスストアが始めるキャッシュレスサービスとして、日本国内でも大きく普及する一助になると当初は期待されていました。
しかしサービス開始直後から身に覚えのない取引があったなどトラブルの報告が相次ぎ、開始から2日後の7月3日には一部サービスの制限が始まり、ついには9月30日の24時をもってサービスの終了が発表されました。
鳴り物入りで始まったものの、実際にはわずか数日で7payは終了してしまったわけです。
社会全体を巻き込んだ大きなトラブルが起きてしまったことにより、キャッシュレス化の流れが止まるのではないかとする声も聞かれます。
確かに今回のようなトラブルが起きてしまうと、不安に感じる人は多いでしょう。
特にキャッシュレス化について詳しく知らない人ほど、現金払いならこうしたトラブルは起きなかったと思いがちですから、推進を拒否したくなる気持ちになるでしょう。
キャッシュレスについて理解している人なら今回の問題は、セブンイレブンの体制に問題があったとわかります。
しかし残念ながら現在の日本ではキャシュレスを使いこなす人は少なく、問題の原因を正しく理解していません。
また日本は現金払いを信奉している人も多いので、今回のトラブルによってキャッシュレスに反対する人も実際に多くいます。
ですがキャッシュレス化を進める流れは、7payに問題が起きたとしても止まることはないと考えられています。
実際にキャッシュレスの普及が進めば、店舗はレジで現金払いをする人のためにスタッフを割く必要はありません。
これまでレジを担当していたスタッフを別の業務に充てられるので、慢性的な人手不足を解消できます。
これから日本は働き盛りの世代が減っていくわけですから、効率的に人員を配置して生産性を上げていかなければいけません。
またキャッシュレスが進めば新しいサービスも登場し、より生産性を上げていくこともできるでしょう。
社会全体で効率性を挙げていくためには、キャッシュレスの普及は止められません。
政府もそれを理解しているからこそ大きな目標を掲げて、利用を促進しています。
またサービスを提供する事業者にとっても、ビッグデータを集められるなどさまざまなメリットがあります。
そのため7payにトラブルが起きても、キャッシュレス化の流れは止まらないでしょう。
実際に7payがトラブルを起こす前から、日本では徐々にキャッシュレスが広がっています。
たとえば一部のプロ野球やサッカーのスタジアム内では、すべての支払いに現金を使えません。
飲食物やグッズを購入するときには、スマートフォンを使って支払いを済ませるシステムが導入されています。
また牛丼屋のチェーン店でもキャッシュレスは進んでおり、現金払いができない店舗も増えつつあります。
人手不足が激しいチェーン店では導入が進んでいるので、それにならい導入する店舗は次々と増えていくこと予想されます。
7payによるトラブルは、キャッシュレス化の流れを止めるほど大きな問題ではありません。
しかし現金しか使わないと不安に思っている人々たちには、不安を増大させてしまった結果になりました。
トラブルの内容も二段階認証を導入するなど、システムを構築する段階で防げた内容ばかりです。
ですからトラブルを起こしてしまったセブンイレブンの責任は、非常に重く言い逃れできません。
今回のトラブルがきっかけで不安に感じた人は、ますます現金主義になってしまったでしょう。
しかし日本国民全体が不安に思ったわけではありませんし、すでに利用していて利便性を理解している人も多くいます。
ごく一部には影響を与えるかもしれませんが、政府が掲げた目標達成が危うくなったとは言い切れません。
今後はキャッシュレスの不安を解消し利便性を社会にPRしていけば、2020年に40%という目標達成は決して無理ではないでしょう。