高校を卒業して上京するタイミングで連載が始まり、ちょうど主人公たちが上京する話だったので自分の人生に大きな影響を与えたのがNANAです。
小さい頃から矢沢あい先生の漫画は、マリンブルーの風に抱かれてから、天使なんかじゃない、ご近所物語、パラダイス・キスとほぼずっとハマって読んでました。キャラクターデザインが秀逸だし、ファッションもオシャレだし、主人公たちが恋愛や結婚だけではなく進路や人生に悩んでいる様子が本当にリアルで共感できるのが凄いなと思います。中でもNANAは、矢沢あい先生の良いところが全部最高峰に凝縮されてます。舞台が芸能界だから、主人公たちもストーリーも最高にキラキラしているし、一方でキラキラしている分だけドロドロしているので、ついついその話に引き入れられてしまいます。
ストーリーは、恋愛体質な奈々とストイックなバンドボーカルのナナを中心に話が展開されていくのですが、二人と全く共通点がないにも関わらず話にハマってしまうのが不思議でした。この漫画にハマっていたのは10代後半から20代前半ですが、今思うとその年代の女の子は精神的に不安定になりやすく恋愛至上主義になりやすいから、その世界観を描いたNANAにどっぷりハマったのかなと思います。
また、その当時の日本は、若い女の子は特にお洋服にお金を掛けていたし、遊びもカラオケとか友達と集まって話すとか今よりも派手にお金を使って着飾ったり、今よりもリアルなコミュニケーションに依存する部分があったりしていたので、NANAのオシャレで人と深く関わろうとする世界観が世間の王道だったから、爆発的にヒットしたのかなと思います。
私は主人公の二人の女の子はどちらも共通点がなかったのであまり好きではありませんでしたが、主人公の相手であるタクミが大好きでした。タクミはバンドの中でもプロデューサーの役割をしているし、長身イケメンでモテるのですが、器用に立ち回りながらも意外と不器用で、でも自分の欲望に正直で周りの人を全員幸せにしようと頑張るところが格好良いなと思ってました。その気持ちは今でも変わってなくて、やはり男はタクミのように長身イケメンで仕事がデキて、多少不器用なところがあっても周りに愛情を持てる人が一番格好良いなと思います。
NANAは途中から少女漫画の範囲を超えてかなりディープな話になっていき、賛否両論が生まれ、私もその頃から離れてしまい、今でもまだ完結してません。奈々の子供の父親のこと、奈々とタクミの関係、ナナの居場所などまだまだ明らかになってないです。このまま未完のままで終わるのも一つの作品のカタチだし、とは思いますが、できれば完結したのを読んでスッキリしたいなという気持ちもあります。
ただ、連載がストップしてから、世の中はスマホが出てきたり、SNSが出てきたり、若者がお金を使わなくなり、若者がオシャレをしなくなるなど様々な世界観の変化があったので、NANAの世界観が現代にどう溶け込んでいくのかなという疑問はあります。
個人的には私は矢沢あい先生の世界観が好きなので、変に現代に合わそうとせずにNANAの世界観のまま完結させて欲しいなと思います。また、完結するなら主人公たちをはじめ残りのキャラクターもハッピーエンドで終わって欲しいなと思います。みんなが救われるような展開が良いなと思います。
でも、完結せずに未完のままにするのも、それはそれで一つの作品のカタチだから受け止めます。作品はファンのもので出版社のものではあるけれど、その前に漫画家さんのものであると思うから、矢沢あい先生が納得するカタチで終わらせるのが一番だと思います。