手塚治虫さんがなくなっても、その作品の数々は世界の人々の中に息づいています。
その中でも私が最も印象に残っているのがブラックジャックです。
もともとは手塚治虫さんが医学を志していたからと言うこともあって非常にリアリティーのある作品であり、人間について、命について深く考えさせられるアニメであったと思います。
時代を超えて少しずつリニューアルされたりリバイバルされたり作風がスタッフによって変わりながらアニメが上映されてきましたがいつも変わらないのがブラックジャック役の声優を務める大塚さんです。
大塚さんを差し置いて世界のどこを探してもブラックジャックを任せられる人がいないのではないかと正直に考えています。
ブラックジャックの世界
普段の新聞やテレビの情報では医療に関しては最近、外科手術よりも化学療法や内科の方が重きを置かれる時代になりつつあります。
しかしながら、ブラックジャックは外科医であり、どんな患者でもメスの力で健康な状態に戻す力をアニメの中では示しています。
そして、どんなエピソードの中にも患者に様々な背景があり、悩みがあり、そして病を抱えています。
ブラックジャックは外科手術だけではなく患者とのコミニケーションを取る中で患者が抱える様々な悩みも含めて治療してしまうところがブラックジャックと言う漫画の魅力ではないかと思います。
そして、素晴らしいところは30分のオムニバス形式の中で1つの物語がほとんどまとまっているところです。
これだけの様々な訴えるべきポイントがある中30分の作品で全てを完結させる姿は本当にすばらしいと思います。
医療について
冒頭にも記述した通り、作者である手塚治虫さんが医学を志していただけあってすべてのエピソードの病気がどれだけ珍しいものであっても実際に存在する可能性が高く、それでいて治療方法まであると言うのが面白いところです。
本来であれば外科手術を描くようなアニメではあまりにもグロテスクさが先行し、子供には見せられないところです。
しかし、ブラックジャックでは全く問題なく子供も見ることができると思います。
社会課題
ブラックジャックが大人から子供まで楽しむことができるのはなんといっても社会課題や、時代における課題を明確に捉えそれをブラックジャックが外科手術とともに解決をしていくと言う姿にあります。
その観点から見ると子供よりは大人に向けられた作品であると言えるかもしれません。
その社会課題は、海洋汚染であったり、テロ問題、人間の生殖医療であったり様々な観点から捉えられています。
このような社会課題と外科手術を結びつけることができる手塚治虫さんの力には本当に感服するばかりです。
そして数十年も前に現在の社会課題を言い当てて今でも古さを感じさせずにアニメを見ることができるのは本当に驚きです。
確かに名作とは言えブラックジャックは教科書で推奨されるような作品とは少し異なります。
しかしながらアニメを通じて社会に様々なメッセージを訴え続けています。
それもオムニバス形式でそれぞれの作品の中でメッセージを訴えかけているところがポイントです。
もし、手塚治虫さんがまだご存命であれば、現代の社会課題、そしてこれからの社会課題をうまく捉えブラックジャックにそれをメスでさばいてもらうような作品をぜひとも描いてほしいと祈念するばかりです。
医療を通じて社会課題を訴えかける、これがブラックジャックの見所であり、醍醐味ですから。
これからも少しずつ作画が変わっても構わないので、作品が描かれ続けることを願ってやみません。
時代を超えて世界どこでも受け入れられることが間違いないと信じています。