思いっきり笑いたい時には、ツッコミどころ満載の作品が一番です。
面白かった作品に、「キャッ党忍伝てやんでえ」があります。
1990年に放送されたのですが、とにかく面白かったんです。
あらすじ
江戸時代を思わせるエドロポリス。
暮らしているのは、人間ではなく、アニマロイドと呼ばれる動物型のロボットたちです。
平和に暮らしている人々を脅かす、悪の影が近づいていました。
老中コーン守と部下の幻ナリ斎は、日々悪巧みを企んでいました。
そこに、現れたのが秘密忍者隊ニャンキー達です。
熱血漢だけど、どこかおっちょこちょいのヤッ太郎。
キザなスカシー。
紅一点で姉御肌のプルルン。
彼らは、普段はピザ屋を経営しながら、人々に危険が迫る時には、ニャンキーとして戦いに馳せ参じます。
そして、コーン守の手下であるカラカラ一族の忍者であるカラ丸とは、まさに宿命のライバルとなっていきます。
数々の陰謀がエドロポリスを襲いますが、ニャンキー達の活躍のおかげで、エドロポリスの人々は、安心して暮らすことが出来るのです。
感想
あらすじだけを見ると、かなりシリアスな忍者アニメを連想するかもしれないのですが、とにかくツッコミどころが満載の作品なのです。
そもそも、エドロポリスとはどんな世界なのか、アニマロイドはどうやって誕生したのかといった、ある意味かなり肝心なことは語られてはいません。
全体的に、昭和50年代に放送された、「タイムボカンシリーズ」を彷彿させる作品で、出てくるロボットも可愛らしいデザインの物が多く見られました。
正義と悪の戦いだったり、キメ台詞や必殺技の数々があったり、どこか時代劇を思わせる台詞の数々。そして、派手なメカアクションと、とにかくロボットアニメの魅力がたくさん詰まった作品なんです。
そして、とにかく自由でした。
声優やスタッフの内輪話が満載で、どこまでが脚本なのか。どこまでがアドリブなのか、全くわからないような展開もありましたし、ナレーションとキャラクターが会話をするなど、これまでのアニメ作品とは全く異なる、斬新な演出がされていました。
わかる人にはわかるようなシーンなのですが、見ていて本当に楽しかったんです。
回を重ねるごとに増えてくるハチャメチャなシーンは、観ている方が思わずツッコミたくなる内容ばかりでした。
ですが、本来、アニメとはこれで良いのではないかと思います。
現在だったら、あきらかに問題になってしまうのかもしれません。
ですが、空想の世界ぐらい楽しくないと、と思うんです。
そして、この作品は決してふざけているだけではないのです。
コーン守に仕えている忍者のカラ丸は、その心までは悪ではありませんでした。
時々、ヤッ太郎よりも正しいことをしている時もあるぐらいなのですが、板挟みとなり、その思いに葛藤します。
そして、迎えた最終回。
エドロポリスへと向かってくる大彗星ハラホロヒレハレーを破壊するために、ヤッ太郎とカラ丸は協力作業でハラホロヒレハレーを破壊します。
なんとか破壊に成功するシーンは、感動的でした。
エドロポリスを守ったことを喜ぶヤッ太郎達。
ですが、ここで終わらないのがこの作品です。
感情が高ぶるとミサイルを放つおミツにより、結局は壊滅します。
何もかもなくなったエドロポリス。
ヤッ太郎達は、たくましく再びピザ屋を始めました。
隣にはカラ丸の店もオープンしました。
いろんなことはあったけれど、最後は笑って終われる作品です。
作り手が楽しんでいる作品は、こんなにも楽しいのかとわかる作品です。
設定そのものの奇抜さと、笑いながらツッコミを入れたり、時にはキャラクターと共に泣いたり出来る作品は、そうそうありません。
すべてにおいて、バランスが良かったと思います。