日が暮れるのが早くなると、テレビの生中継で酉の市を紹介しそこで熊手を購入している人にインタビューをしている光景を、見たことがあるという人もいるのではないでしょうか。
また、どこよりも大きな熊手を売っている店を取材して、その由来などを教えてもらうという企画も多く見られます。
飲食店に行くと、大なり小なりの熊手が飾ってある店が多いところをみるとあまり詳しくない人は、商売に関係があるのかと思うこともあるかもしれませんが果たしてその実態はどうなのでしょうか。
ここでは、酉の市に関する事柄について説明していきます。
そもそも、酉とは何を意味するのでしょう。小学校の時に、十二支を無理やり覚えさせられた人もいるかもしれませんが、酉はまさにその中の一種なのです。
酉の日は全て含めると3つ存在し、それぞれ一、二、三というふうに使われます。
基本的に、11月に行われるこのイベントは神社で開催されることが普通です。
有名な酉の市と言えば、浅草のものや新宿にある花園神社のものでしょう。
浅草では、近年外国人観光客が多く見られるようになり日本人よりもむしろ異国の人で埋め尽くされているとも言われるようになりました。
実際に足を運んで見ても、日本語以上に英語や中国語が飛び交っていて空いていることは少ないです。
まして、11月のいわゆるお酉様の時期になると日本古来の文化を楽しんだり学んだりするために、観光客の観光コースに指定され会場は人でいっぱいになります。
そのような中で、大きな熊手を持ち歩くことは以前には想像もしていませんでしたので、販売する側はこれまでのような大きなものは販売せずに、あえて持ち運びが容易な大きさのものを提供するというところも多くなりました。
浅草と一口に言っても、参拝だけでなく食べ歩きをしたり下町文化を学ぶケースも考えられますので記念に購入するという人にとっては、お手頃なサイズの方が実際には売れるとも言われています。
加えて、この場所からは上野や秋葉原など東京の観光名所が近いためそのまま移動をする人も多いのが実状です。
こうして見ると、本来は日本人のために販売されていたものが外国人向けに提供されるようになったため、昔からの職人気質の人は納得がいっていないという声も多く聞かれるのです。
さて、酉の市で手に入れることができる熊手にはどのような意味が込められているのでしょうか。
最も多くの意味が込められているのが、商売繁盛や金運アップです。
先にも述べたように、飲食店に熊手が飾ってあるというのはまさに売り上げが上がりますように、との意味が込められていると言っても過言ではありません。
一般的に、伝統としては神社に参拝をしてから購入するのがマナーと言いますかルールになっているのですが、最近では神社によってはかなり混み合うことも少なくありませんので、特に順番を限定せずに自由に行動しても問題ないとされています。
飲食店を経営している人ばかりではなく、一般企業の社長なども買いに来ることが多いです。
なぜなら、何か製品を製造しそれをきちんと納品をして売り上げをアップさせたいと思っているからです。
すなわち、お守りのような役割を果たしていると考えれば問題はないでしょう。
すると、一つの疑問が浮かんできます。それは、御守りやお札は年月が経過すると神社に返納するものであるのに対して、古くなった熊手はどのように対処すればよいのか、ということです。
実は、お札などと同じように納める必要があるのです。
基本的には、酉の市当日に納めるのがベストなのですが場合によってはその日に返納できないということも考えられます。
そのような場合には、日をずらしても問題はありませんのできちんとお返しすることを意識するようにしましょう。
また、なぜ熊手を購入すると金運アップにつながるのか分からない、という人も多くいるのではないでしょうか。
それは、熊の手を見ると良く分かります。
熊の手を見てみると、鋭い爪があり獲物をかきこむことができることが分かります。
つまり、運をかきこむ、という意味でこのように名付けられているのです。
中には、見た目を派手にするために鯛の人形や縁起の良いレプリカなどを飾る場合もあります。
こうした縁起物を販売するための店だけでなく、様々な出店も多く見られますので特に買い求めなくても雰囲気だけを味わうために足を運んでも面白いかもしれません。
1年に1度のこのイベントを最大限楽しむのであれば、前夜祭にも顔を出すことをおすすめします。
そうすると、酉の市のことがより一層分かるようになりますし、日本の伝統文化とも言うべきこのイベントを大切にする気持ちが芽生える可能性も考えられますので、時間のある人は参加してみると良いです。
あるいは、特に商売事をしていなくても縁起物ということで、今年から熊手を購入するという伝統を作り出すのもいいかもしれません。