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栃木県小山市 間々田のじゃがまいた

私が住んでいる栃木県小山市の間々田という場所には少し変わったお祭りがあります。

毎年5月5日の子供の日になると地域の子供を中心とし、蛇を模した龍を創り地域を練り歩く蛇祭り(じゃまつり)というお祭りがあるのです。数百年の歴史を誇る伝統のあるお祭りで、無病息災を願った昔の人たちが始めたのが由来です。

間々田のじゃがまいた

農作物のために降雨を祈る雨乞いの要素も含まれており、当時の人々の思いが重なった複合的なお祭りなのです。

蛇の胴体は竹を素材とし、青々と生い茂った野生のシダを集めてきて、竹の胴体に縄やシダを飾ることで蛇を作るのです。

地域ごとに複数の蛇が存在し、じゃーがまいたーじゃがまいたー5月5日はじゃがまいたーと蛇を担ぐ子供たちが大きな声で唱えて町内を練り歩くのです。お祭りの存続のために子供達にはお小遣いと称して町内から集金したお金が配られ、私も子供の頃は蛇を担ぎ最大で一万円もらいました。地区によっては景気のよい時代の頃は7万円のお小遣いをもらっていたという話を聞いたことがあります。

担ぎ終わった蛇は丹念に解体され、祭りは終了となります。中々の重労働のお祭りで蛇を担いだ次の日は全身が筋肉痛になったことをよく覚えています。本家の地域では担ぎ終わった蛇は間々田八幡宮に集結して池の中に入って蛇に水浴びをさせるのです。蛇に水を振る舞わせるという目的のようで間々田の若い衆が集い、荒々しく蛇に水浴びをさせるのです。

間々田八幡宮には蛇が祀られた祠があり、じゃまつりについてのことが詳しく描かれています。また、間々田駅の西口を降りた場所には蛇の銅像が配置されており、じゃまつりのことが詳しく記された石碑があるのです。このお祭りは地域に古くから根付いており、人々が古くから繋いできた伝統があるのです。

知る人ぞ知る地方の変わったお祭りとして長年行われてきたこのお祭りも、2019年に国から無形文化財に指定されるという快挙を達成しました。一市民としてじゃまつりが文化財として認定されたことをうれしく思います。5月5日の日になると栃木テレビがこのお祭りについての特集を放送し、全国放送されたこともあります。知名度が上がってきたことで、このお祭りを見に来る人も増え、間々田に活気が沸くことを喜ばしくも思います。

このお祭りの存在を他県の友たちに話すと珍しいお祭りだと興味を持ってもらえます。一地方に変わった風習があるというのは興味を抱く人はたくさんいるのです。間々田という町には特に特徴もない田舎町ですが、そんな田舎町にも人に興味を持ってもらえる特性が一つでもあるというのは住民としてはうれしく感じるのです。

約400年の歴史を誇る蛇祭りですが、昨年2020年は新型コロナウイルスの蔓延を危惧したことで、400年の歴史で初めてとなる中止が決断されました。無病息災を祈願するお祭りが疫病のために中止になるというのは複雑な気持ちとともにやりきれなさを感じます。今年の蛇祭りはぜひとも開催されればいいなと思います。コロナウイルスに打ち勝つためにみんなで蛇を担いで祈ることができれば地域の絆を確認することができてホッとした気持ちになれると思うからです。

もし、今年蛇祭りが開催されることになれば、時間を作ってぜひとも見に行きたいと思っています。皆が当たり前に集まれる数年前の状況に戻ってくれればどんなに素晴らしいことなのだろうかと思います。コロナウイルスのせいで昔は当たり前だったことが、いかに貴重なことだったのかとしみじみと感じさせられます。本当に蛇に厄災を払う力があるのだったら、世界に蔓延するコロナウイルスを祓ってくれたらいいのにと切に願います。

 

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