『若葉のころ』は今から24年前、1996年にTBSで放送されていたドラマです。
最近の若い人は知らない人が多いと思いますが、若い人にこそ見てほしい本当におすすめできるドラマです。
何度見ても絶対泣けます。
少々重くシリアスな内容ですが、当時駆け出しだったKinKi Kidsの二人が見事に演じています。
KinKi Kidsの見事な演技が光る、生きるとは何かを考えさせられる後世に残したいドラマなのです。
『若葉のころ』おすすめポイントその1:数奇な運命を辿る友達同士の二人
堂本剛演じる武司は、無職の父に代わり幼い弟妹のためにアルバイトを幾つもしながら高校へ通う苦労人。
一方、光一演じる甲斐は大学病院の一人息子として何不自由なく暮らすおぼっちゃま。
そんな対象的な二人は高校で出会い、徐々に友情を育んでいきます。
しかし出会ったことが不幸の始まりでした。
実は、甲斐の母親は出産直後、貧しい自分の元に生まれた我が子を幸せにしたい一心でたまたま同じ日に生まれた大学病院の息子と自分の息子を入れ替えてしまっていたのでした。
本当は武志が大学病院の息子で甲斐が貧乏人の息子だったのです。
本来なら裕福で幸せな人生を送るはずだった武志、それが甲斐の母親の身勝手な行為によって人生を狂わされてしまいました。
最後の方で二人はこの事実を知るのですが、それでも武志は自分の運命を受け入れます。
どんなに辛くても家族や友達を想い、自分を抑えこむ武志にもう涙が止まりませんでした。
『若葉のころ』おすすめポイントその2:家族愛
色々な視点から家族愛が描かれていますが、一番泣けるのは武志があまりの貧しさ故に盗んでしまったメロンを弟妹が美味しそうに食べるシーンです。
「美味しいよ、お兄ちゃんも食べよう」と無邪気に笑う弟妹とは対象的に惨めさ故に泣きながらメロンを食べる武志の姿は涙無しでは見れません。
それからもう一つ、これも必ず泣いてしまうのですが、弟妹を可愛がり武志だけに冷たかった父親が事故で亡くなったあと、武志は3つの通帳を見つけます。
二つは弟妹名義、そしてもう一つは武志名義でわずかながら毎月貯金されていました。
たまに日雇い仕事をする父が兄弟平等にそれぞれ貯金をしていたことを知り、自分は嫌われていると思っていた武志の気持ちが溢れます。
真っ暗な部屋で通帳を握り締めて泣き続けるこのシーン、心を通わすことなく別れてしまった父と武志の親子愛がわずかに感じられる名場面です。
以上、特に注目してほしいシーンをご紹介しましたがその他にも見どころは沢山あります。
武志が父親をナイフで刺してしまったり、甲斐が女性教師に寝盗られたり武志の彼女を妊娠させてしまったりそれを知った武志が人を信じることをやめ心を閉ざしてしまったり。
とにかく不幸の連続で見ているのも正直辛かったです。
けれどとても強くて大切なメッセージの込められたドラマです。
「生きることの意味、死ぬことの答え」これは毎回オープニングで武志のナレーションで流れるこのドラマの目指すところです。
この答えを出すのは非常に難しいですが、ドラマを見ることで見た人がそれぞれの答えを見つける、もしくは探すきっかけになればいいと思います。
沢山の物や情報に溢れ平和を当たり前に生きている若い人にこそ生きる意味とは何なのかを考えてほしいです。
最終回の最後のシーンは武志の笑顔で締めくくられています。
数奇な運命を辿り辛く苦しい思いを沢山経験した武志の心からの笑顔は胸を締め付けます。
全てを許し受け入れ自分を生きていく覚悟を感じます。
それが生きるということなのかな、とわからないなりに思ったりもしました。
見る人によって感じ方は様々だと思いますが、大人になる前に一度は見てほしいヒューマンドラマです。