「俺の屍を越えてゆけ」とは
「俺の屍を越えてゆけ」(通称「俺屍(オレシカ)」は、平安時代、朱点童子という鬼に呪いをかけられた一族が、朱点童子を倒して呪いを解くために戦うRPGゲームです。
一族にかけられた呪いはふたつあり、ひとつは人の何倍ものスピードで成長し、生後1年半~長くても2年以内にその命を散らせてしまう「短命の呪い」、そしてもうひとつは人間との間に子供を設けることができない「種絶の呪い」です。
一族の戦いは、朱点童子によって壊滅状態にされた京に平和を取り戻すことにもつながります。
画期的な世代交代の手段
このゲームは「世代交代を重ねることで強くなり、最終決戦に挑む」というゲームですが、主人公の一族はゲーム開始前に「種絶の呪い」をかけられ、世代交代ができない状態にあります。
ではどのように子を設けるのかというと、その答えは「神様と交わる」ことです。
何世代にもわたって、神様との間に子を成すことで、一族はどんどん強さを増していきます。
と同時に、一族の中に神様の血がどんどん濃くなっていくというジレンマを抱えることにもなります。
序盤で直面する「主人公の死」
「序章(=プロローグ)」では赤子だった主人公ですが、プレイヤーが操作できるゲーム開始時点ではすでに0歳8か月になっています。
そんな主人公との別れはあまりにも早く、唖然としてしまうプレイヤーもいたでしょう。
序章から彼(彼女)に感情移入してきた人からすれば、唐突に感情移入の対象を奪われてげんなりした人もいるかもしれません。
しかし、プレイを続けていけば、後述のシステムによって主人公の子々孫々にもはやり情が沸いてしまいます。
主人公の遺言は「俺の屍を越えてゆけ」というもの。
ゲームタイトルを回収するこの遺言を胸に、後を託された子たちは前進することになるのです。
一族の「人格」を感じさせるシステムの数々
世代交代を重ねるというゲームの性質上、誰にも感情移入できず、最終世代まで作業のように世代を重ねることになりそうだと思った人もいるのではないでしょうか。
しかし、俺屍にはプレイヤーの感情を揺さぶるニクいシステムがいくつか備わっています。
その最たるものが「進言」です。
俺屍では隊長1人・隊員0~3人という編成で戦闘を進めますが、隊員は自分のターンになると、隊長に3つの進言(たとえば、攻撃する・防御する・アイテムを使うなど)をしてくれます。
この進言の内容が、状況はもちろんキャラクターによっても変わるため、「この子はこういう性格の子なんだな」「こんな進言をするようになって、成長したんだな」と深読みさせられてしまうのです。
また、「心」のパラメーターによって一族への忠心の上下の仕方にも違いがあり、それがまた一族への愛着を沸かせてきます。
そうやってキャラクターを愛し始めたところに、別れの時がやってくるのです。
そこで現れる、キャラクターが唯一明確に自己主張するシーン「遺言」が、良くも悪くも、一族への愛着をより深いものにしてくれます。
程よい制限と自由度が魅力
俺屍のもうひとつの魅力として、ゲームの進行の自由度が挙げられます。
俺屍には「朱点童子を討伐する」という大目標ありますが、そこに至るまでは、何年かけようが、どんな手順で行こうが自由なのです。
これを悩む時間もまた楽しく、じっくりゲームを楽しみたい人にはもってこいだと思います。
「俺屍」は長く楽しめるゲーム
「俺屍」は世代交代を重ねながら進めるゲームですが、キャラクターひとりひとりに様々な感情を抱かされるので、どのキャラクターのことも忘れることができません。
おかげで、たとえば月1回程度といったプレイペースでも安定して楽しむことができます。
私はそのペースで2年ほど遊んでいますが、まだまだ飽きる気配はありません。
本当にいいゲームに出会ったなと思います。