女子高生の仲良し4人組が魅せる愛と勇気と根性に涙
母親が行方不明で帰ってこないことがきっかけで、南極に行くことを決意した女の子、小淵沢報瀬との出会いがきっかけで、同じく南極を目指すことになった主人公の玉木マリとの関係性が素敵なんです。
マリは特に何の夢も持ってないけれど、報瀬の夢を自分のものとして共有し、降り掛かる苦難にもめげず一緒に乗り越えていこうとする過程が泣けてくる。
もちろんコンビニで知り合ったアルバイトの三宅日向や芸能活動をしていた白石結月もそうです。
しだいに深まっていく4人の絆が見ていて微笑ましい。
真面目なシリアスだけではない、要所要所でしっかり笑いがあってコミカルにも仕上がっていてアニメの面白さって奥深いんだなと痛感させられます。
作中のキーワードは一貫して「青春」であり、それが夢の南極を通して見事に体現していると言っていいでしょう。
ああ、わたしにもこんな青春があったらな、というようなノスタルジックな想いを馳せること請け合いです。
ただの普通の女子高生が南極に行くなんて、学校のクラスメイトしかり周囲の人間たちから冷ややかなエールと嘲笑とともに現実の壁を突きつけられながらも、決して諦めない根性、絶対に折れないその矜持といったらすごい。
確かに最初のほうは行方不明の母親に会いたいというような動機を持っていた報瀬だけだったはずのものが、いつしかマリたち4人共有の目標となり財産となっていく。
そこにあるのは青春パワーとでも表現すべきか、時には笑い、時には泣き、時には怒り、時には楽しんで、わたしたち視聴者も同じ目線になってドラマを届けてくれる、ほんとに見ていて気持ちがいいほどの感動と爽快感を齎してくれたりしました。
夢は叶ってからが本番でした!
色々あってマリたち4人の少女は真剣に現実と向き合い、そして最終的には見事南極に行くことに成功するんですが、普通ならそこで大団円のところがこのアニメは違うんですね。
本編は13話までありますが、その中盤で早くも夢は叶っちゃいます。
そして南極大陸に上陸してからも青春は終わらない、むしろ加速する。
例えばコンビニで知り合った三宅日向だけは高校に通っていないので厳密には女子高生ではありませんでしたが、元々学校のいじめが原因でやめたトラウマを抱えていた彼女に対して、昔のクラスメイトたちが手の平を返したように応援に来たときのことです。
それはテレビ電話の中継での一幕で、レンズを通したカメラ越しの対面。
従来よくあるような仲直りしてハッピーエンドみたいな流れになるのではなく、 「悪いけど、三宅日向にもう関わらないでくれませんか」と代弁してまさかの報瀬。
この展開を誰が予想したでしょう。
「あなたたちはそのままモヤモヤした気持ちを引きずって生きていきなよ!人を苦しめたんだよ?そのくらい抱えて生きていきなよ!それが人を傷つけた代償だよ!私の友達を傷つけた代償だよ!今さら何よ、ざけんなよ!」というように、きっぱり絶交宣言したときには胸のつっかえが取れたと言いますか、年甲斐もなく涙しながら素晴らしいほどの爽快感がありました。
これは報瀬だから許される名言。
今まで周囲の人間たちから南極に行けるわけがないと笑われていた報瀬だからこその「ざまーみろ」発言に共感を呼んだのです。
ほんとにこの4人は最高だなと思いました。このアニメを通して「青春」とは何なのかを考えるうえで、ひとつの答えが出た気がします。
青春とは何をするかではなく誰とするか?
南極に行くことは確かに大変なことですが、やっぱり友達なんですね。
アニメの中でも、東京に戻ったらまたこの4人で旅に行こうと約束して別れるんですが、タイトルどおり南極に行くことがすごいんじゃない。
仲の良い友達と一緒に何かをすることが重要なのだと気づかされました。
つまり青春はいつでも始められるってことですね。
もちろん現役の高校生でもいいんですが、これは是非とも昔は学生だった大人の方にも見てもらいたいです。