涙雨とセレナーデは忘れていたときめきを思い出す漫画

顔を見ただけで心臓が飛び上がり、会えただけでただただ嬉しくて、話すともう夢心地、そして相手の仕草にキュンとする。。。こんなときめき、私自身はもう何年も感じていません。「あんな時もあったな」と遠い昔のことのように感じます。同じように感じておられる方、おられますか?

せめて漫画を読んでときめきたいですよね。でも、私自身は恋愛に関しては結構冷めた性格で、漫画でキュンキュンはするのですが、「こんな男、現実にはいないよ」とか、「主人公がウジウジしすぎる」とか考えてしまい、その世界観にハマりきれませんでした。そんな私が見事にハマったのが、河内 遙さんによる涙雨とセレナーデです。

主人公は、元気な女子高生、陽菜。友達とはしゃいだり、気になる先輩から映画に誘われて浮かれたりする、ごく普通の女の子です。そんな彼女には夢で繰り返し見る、ある光景がありました。それは幼い陽菜が古風な洋館で年上の男のこと出会い、親交を深める場面。単なる夢だと思っている彼女ですが、なにかが引っかかっているようです。そして、何気ない日常の最中、彼女は急に違う場所に飛ばされます。そして、倒れている彼女を覗き込み名前を呼ぶ男性が。そして、その背景には見覚えのある洋館があったのです。

こう書くと、「なんだ、よくあるタイムスリップものか」と思われるかもしれませんが、この作品は一味違います。名前どころか顔がそっくりな少女との出会い、陽菜が出会った男性の父親が経営する会社の黒い疑惑、それに巻き込まれていく陽菜、そしてタイムスリップに関わる重要なアイテムのネックレスの紛失、それを手にした男性は現代から来ているようで。。。と、とにかく色んな要素が絡み合っていきます。恋愛も複雑に矢印が飛び交い、拗れに拗れ、そこに明治時代ならではの複雑な背景や大人の黒い計算が絡むものだから、まあ、ややこしいこと、もどかしいこと。でも家を守ることが最重要だったこの時代に、お金持ちのお坊っちゃま、お嬢様は、自由恋愛なんか許されなかったでしょう。そんな環境の中でも自分の恋愛感情を大切にしようと奮闘する登場人物たちの苦悩が、なんともいじらしいのです。

そして、この過去の時代で生き抜いていく陽菜の奮闘ぶりにも、感銘を受けます。ただただ学校で友達と楽しく過ごし、家では家族に守られていた陽菜ですが、明治時代という見当もつかない環境の中で自分の力で生きていかなくてはならなくなり、人としてどんどん成長していきます。最初は「うーん、主人公のキャラ、あまり好きじゃないかも」と思っていましたが、途中から陽菜を応援し、今では「この話の主人公はこのキャラじゃなきゃダメかも!」と思うまでになりました。陽菜のめげないまっすぐな性格に、登場人物だけでなく、私まで惹かれてしまったようです。まだまだ先の読めない展開が続きそうですが、とにかく陽菜が幸せになる結末になってほしいです。

とにかくこの漫画は、恋愛、タイムスリップ、ミステリー、と聞いただけでワクワクする要素盛りだくさんです。そして、主要登場人物たちの心情を表現するのが非常に巧みな作者さんなのでしょう。最初はイラッとくる登場人物もいますが、いつのまにか感情移入して、好きになっています。そして、時代考証もきちんとされているのでしょう。明治時代にタイムスリップするという、現実にはあり得ない話なのに、何故かリアリティーがあり、世界観に素直に引き込まれてしまいます。連載のペースが遅いので、なかなか次の巻が出ないのが残念ですが、待つだけの価値はある漫画です。ときめきを思い出したい、全てのオトナ女子に、自信を持ってオススメしたいと思います。

 

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